2024.11.03
「転貸」トラブルの対処法
シリーズで住まいにまつわる法律について解説しています。
今回のテーマは「転貸」です。
先日「隣の部屋に知らない人が複数出入りするようになった。どうやら前の住人が転貸したようだ。うるさく騒ぐのでどうにかしてほしい」とのご相談を受けました。
まず転貸とは、いわゆる「また貸し」です。
民法では「賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ、その賃借権を譲り渡し、又は賃借物を転貸することができない」(民法612条1項)と定めており、無断転貸を禁止しています。
賃貸借契約は、賃貸人と賃借人の信頼関係に重きを置いています。
したがってこの定めに違反した場合、賃貸人は契約の解除が可能です(同条2項)。
さて、ご相談についてですが、まずは本当に転貸なのか、つまり前の住人が契約を維持したまま転居し、別の人に独立して使用収益させて賃料を得ているのか確認する必要があります。
可能な限り写真や動画等の証拠をおさえ、管理会社に問い合わせることから始めてみてください。
もっとも無断転貸であったとしても、契約を解除するか否かは賃貸人の判断です。
仮に賃貸人が契約を解除しない場合や、転貸ではなく単に新しい入居者が騒いでいるだけだったとしたら、このシリーズによく登場する「受忍限度」の問題です。
「被害の程度」と「加害の態様」を中心にしつつ、地域性、先住性、継続性等の事由を総合的に考慮するとされています。
受忍限度を超えたと判断されれば損害賠償が可能です。
ともあれ、隣人とは可能な限り平穏に暮らしていきたいもの。
お困りの際はお気軽にご相談ください。
平松法律事務所
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