今回は、2024年1月1日から適用されるようになったタワーマンションの相続税評価方法の改正について、お話ししたいと思います。
1.改正の背景
不動産は市場価格の5~8割程度で評価される場合が多いため、相続税対策に活用されやすい資産です。
タワーマンション節税とは、市場価格に比べ相続税評価が極端に低くなりやすいというタワーマンションの特性を利用して、相続税の対象となる財産評価額を下げ、節税を行うことを言います。
改正前は、マンションの階層が異なっても専有部分の面積が同じであれば、マンション敷地の評価額は同じでした。
また、建物も階層による評価額の違いはあまりありませんでした(高さ60mを超えるタワーマンションは階層により評価額に差が発生しますが、その差は階層による市場価格の差に比べれば極めて小さい)。
タワーマンションは、高層階になるほど市場価格が高く、同じ専有面積でも低層階と高層階の価格差は2~3倍に達するケースもあり、高層階ではより大きな節税効果が期待されるため、問題となったわけです。特に13億円で購入した2棟のマンションの相続税評価額が、3億3千万円(購入価格の約25%の評価)となった事案が問題となりました。
2.改正点
今回の改正は、マンションの相続税評価額を市場価格の6割程度にすることを目指したものです。
改正により、マンションの階数や建築年等を考慮し、評価水準(従来の計算方法による相続税評価額÷市場価格のことで、この場合の市場価格は決められた指数により計算されます)が0.6未満の場合は増税され、0.6以上1以下の場合は従来と同じ、1以上の場合は減税されるということになりました。
これにより、タワーマンションによる大幅な節税効果は見込めなくなりました。
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