
2025.06.11
不動産登記制度の沿革について
日本の不動産登記制度の起源は、明治初期にまでさかのぼります。明治政府は、それまでの封建的な土地所有制度を廃止し、「地券制度」を導入することで、近代的な土地の所有および売買を認めました。併せて、国家の財政基盤を確立するため、土地の所有者を確定し、民有地を対象に「地租(現在の固定資産税に相当)」を徴収する制度も導入されました。
しかし、これらの制度改革のみでは土地取引の安全性を十分に確保することができなかったため、明治19年に「旧登記法」が制定され、不動産登記制度の基礎が築かれることになりました。
旧登記法のもとでは、土地に関する情報が十分とは言えず、土地の物理的状況(地目・地積等)を把握する目的で「土地台帳制度」が導入されました。これにより、物理的状況を記録する土地台帳と、権利関係を記録する登記簿が併存する「二元的」な制度が構築されましたが、実務上多くの不便が生じました。こうした課題を解消するため、昭和35年から昭和45年にかけて、全国の登記所において土地台帳と登記簿を「一元化」する作業が段階的に実施され、現在の登記制度の基盤が整えられました。
さらに、平成16年には登記申請のオンライン化が導入され、手続の効率化と利便性の向上が図られています。
このように、日本の不動産登記制度は、明治期の土地制度改革を出発点として、制度の整備と技術革新を重ねながら、現在の姿へと発展を遂げてきたのです。
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