
2025.06.11
事実婚にも適用される法律
今回は「事実婚」のお話です。よく「内縁」との違いを尋ねられますが、違いはありません。いずれも夫婦としての意思(婚姻意思)を持ち、実際に共同生活をしているなど婚姻の社会的実体はあるものの、婚姻届が出されていない男女の関係のことを言います。事実婚と呼ぶほうが「今っぽい」のかもしれません。
さて、事実婚であっても法廷婚と同じように法が適用(準用)されるものがあります。
まずは財産分与です。「籍を入れていないから財産分与はしなくてよい」というのは誤りで、共同生活中に2人で築いた財産は、事実婚解消時に2分の1ずつ分与します。仮に共同生活中に不動産を購入したならば、たとえ一方の名義にしていたとしても2分の1の価値をもう一方に分与しなければなりません。
次に不貞の慰謝料です。「籍を入れていないから不倫ではない」というのも誤りで、共同生活中にパートナーを裏切って他人と性的関係になったならば、きちんとパートナーに慰謝料を払わないといけません。私の訴訟経験上、事実婚だからといって法廷婚よりも慰謝料額が安いということはありません。
最後に相続ですが、これには法廷婚と違いがあります。事実婚には相続権がありません。ですからパートナーに財産を残したい場合は生前贈与をしたり、公正証書遺言を残したりする必要があります。また、亡くなったパートナーに法定相続人がいない場合、または相続人が相続放棄をした場合は、「特別縁故者」として、家庭裁判所に申し立てれば、相続財産を取得できる可能性があります。お困りの際は、遠慮なくご相談ください。
平松法律事務所
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