
3月18日に国土交通省が発表した地価公示(同一地点における毎年1月1日時点の価格を公表する制度)の結果を踏まえ、大分市内商業地の最新地価動向に関して、お話ししたいと思います。
大分市内商業地における地価の対前年平均変動率は+4.0%(前年+3.2%)で、9年連続上昇となりました。この上昇率は2000年代に入り最も高いものとなっており、全国平均の+3.9%(前年3.1%)とほぼ同じです。この9年間で大分市の商業地の地価は約16%上昇しましたが、この間の全国平均の上昇率約19%にはやや及びません。なお、大分市の商業地全37地点のうち、下落地点は皆無でした。
今回最も上昇率が大きかったのは末広町2丁目の+8.5%(前年+7.9%)、2番目が都町2丁目の+6.7%(前年+8.4%)でした。昨年も両地点が上昇率1・2位でしたが今年はその順番が入れ替わっています。末広町は大分駅前の再開発事業の影響、都町はコロナ禍における地価下落の反動が地価上昇の主たる要因と考えます。
また、近年の特徴的な動きとして、国道197号沿線(今津留+5.7%、日吉+6.5%)や国道442号沿線(上宗方+5.3%)をはじめとする幹線商業地の地価上昇が大きいことが挙げられます。幹線商業地は、①2000年代に入り「わさだタウン」、「パークプレイス」等の超大型複合商業施設が郊外に立地して顧客が流出したこと、②事業用定期借地権の普及(契約更新がなく、土地所有者にとって有利なため、郊外で急速に普及し、その結果、売買が減少)等により地価下落傾向が続いていました。その結果、背後の住宅地レベル近くまで地価が下落した地点も存するなど、近年特に割安感が発生していることが地価上昇の理由と考えられます。
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