2024.05.11 賃貸借契約終了時に敷金は必ず返還される?

シリーズで住まいにまつわる法律問題について解説しています。

今回は、敷金のお話をします。
まず敷金とは、賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務を担保するために、賃借人が賃貸人に交付する金銭のことを言います。担保が目的ですから、賃貸借契約が終了して担保する必要がなくなれば、敷金は返還されるべきものです。

しかし、予め「敷引き特約」を定め、敷金は一切返還しないという合意をさせているケースもあるようです。この問題に関し、平成23年3月24日、最高裁は、「賃貸借契約における敷引き特約も一応有効であるが、建物の通常損耗の補修費用として一般的に想定される額や賃料の額、礼金授受の有無や金額等に照らして、敷引き額が高額過ぎる場合には、基本的に消費者契約法10条によって無効になる」と判断しています。つまり、予め賃貸借契約書にうたっていたとしても、場合によってはそのような定めは無効になるのです。

また、「敷引き特約」とまではいかなくとも、原状回復(クリーニングやメンテナンス)に費やしたことを理由に敷金を返還しないという賃貸人もいます。
しかし、原状回復義務の内容には「通常の経年劣化による損耗」分は含まないと考えられています。したがって、賃貸人は室内を完全な状態まで戻そうとして費用計算をすることはできず、必要な原状回復費用を除いて余った敷金は、賃借人に返還しなければなりません。

契約書を隅々までお読みになる方は多くなく、不動産業者から言われるがままになるケースも散見されます。お困りの際はお気軽にご相談ください。

平松法律事務所
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