2024.07.02 今さら聞けない!お盆の過ごし方

日本に古くから伝わる夏の風習「お盆」。多くの方が夏季休暇として過ごし、帰省や親戚が集まるお盆ですが、その本当の意味や過ごし方をご存じですか?お盆の基礎知識をおさらいし、新たな気持ちでご先祖様をお迎えしましょう。

お盆の正式名称は「盂蘭盆会(うらぼんえ)」と言い、旧暦の7月15日前後に行われる先祖供養の儀式です。「ご先祖様の魂が里帰りする時期」とされ、家族や親族が集まって冥福を祈るとともに、霊魂を供養する行事として定着しています。全国的にお盆は8月13日~16日に行われますが、東京を中心とした一部の地域では7月13日〜16日、沖縄では8月中旬〜9月上旬に行われます。

 

▶︎祝日ではないのに休みになる理由◀︎

お盆期間に多くの企業が休日になるのは、江戸時代の「薮(やぶ)入り」と呼ばれる住み込み奉公人の夏期帰省の風習が受け継がれています。土・日曜、祝日と年末年始のみ休みの銀行や役所、郵便局は、お盆でも平日であれば通常通り営業しています。

▶︎お盆にしてはいけないこと◀︎

ご先祖様の霊を供養する時期なので、入籍や結婚式などお祝いごとや、水辺に行くこと、生き物の命を粗末にするなどは避けるべきだと言われています。

▶︎お盆の行事◀︎

盆踊りは、ご先祖様の供養を目的として始まり、地域の人々との交流のイベントとして定着しました。また夏の風物詩である花火もお盆が由来。慰霊や疫病退散を祈念して行われていたそうです。

 

「お盆飾り」とは、お盆に帰ってくるご先祖様をおもてなしするための飾りのことです。一般的にはお盆専用の祭壇「精霊棚」(盆棚)を用意し、「盆提灯」「ほおずき」「精霊馬(しょうりょううま)」などを飾ります。地域によって精霊棚は異なるため、詳細は菩提寺や地元の仏具店に相談しましょう。

 

盆提灯

ご先祖様が、迷わず帰ってくるための目印の役割を果たしています。天井から吊るしたり、仏壇の横に置いたりして使用します。中には回転灯を備え、きれいな絵柄が浮かぶものもあります。盆入りの13日の夕方から点灯し、16日の夕方まで灯明を絶やさない方が良いとされています。

ほおずき

漢字で「鬼灯」と書きます。ここでの鬼は死者の霊を指し、鬼灯とはご先祖様を導く灯りを意味しています。またほおずきの赤色には「邪気払い」の意味もあり、仏壇の周りを清め、神聖にしてくれるとも言われています。

精霊馬(しょうりょううま)

キュウリやナスのお供え物です。キュウリとナスはそれぞれ馬と牛を表し、割り箸などを刺して足に見立てます。ご先祖様が戻ってくる際は足の早い馬で、帰りはゆっくりと牛に乗って帰って欲しいという願いを込め、お迎え用のキュウリは仏壇にヘタを向けて、お帰り用のナスは仏壇にお尻を向けて置きます。

送り火・迎え火

お盆の始めと終わりに焚きます。皮を剥いだ麻の茎「おがら」と素焼きのお皿「焙烙(ほうろく)」を使います。昔はお墓の前で行うことが一般的でしたが、現在では自宅の玄関先で焚くことが多くなっています。地域によって大掛かりな行事として行うこともあり、精霊流しや灯篭流し、京都の「五山送り火」が有名です。