2025.11.01 焼酎入門ガイド

肌寒さが増す11月。
心も体もじんわりと温めてくれる「焼酎」のお湯割りが恋しくなりませんか。
大分は、「麦焼酎の本場」として全国に名を馳せています。
そんな私たちにとっても身近な焼酎の中から、
秋の夜長にゆったりと味わいたいおすすめの銘柄と、
全国の逸品焼酎をご紹介します。

 

焼酎とは、日本を代表する蒸留酒です。穀物に含まれる糖やデンプンを酵母で発酵させて醸造酒を造り、それを加熱して気化させ、冷やして再び液体に戻す「蒸留」という工程によって、アルコール度数を高めます。蒸留方法には大きく2種類あります。原料の風味を生かしつつ、アルコール度数を高める「単式蒸留」と、効率的にアルコールを抽出し、クセの少ない、すっきりとした味わいとなる「連続式蒸留」です。前者は焼酎乙類(本格焼酎)、後者は焼酎甲類として区別されます。かつて日本では、焼酎甲類が主流でしたが、2003年の本格焼酎ブームをきっかけに状況は一変。九州で親しまれていた味わい深い本格焼酎が全国的に広まり、翌2004年には焼酎全体の出荷量が日本酒を上回るまでになりました。近年では輸出拡大の取り組みも進められ、焼酎の魅力は海外にも広がりつつあります。

大分県で本格的に麦焼酎が広まったのは昭和40年代です。1973年、二階堂酒造が日本で初めて“大麦100%”で仕上げた麦焼酎を世に送り出し、そのスタイルを確立。続いて三和酒類が「いいちこ」を発売すると、その軽快で飲みやすい味わいが全国で受け入れられ、「大分麦焼酎」の名を一気に広めました。大分を代表するこの二大銘柄は、ともに蒸留器内の気圧を下げ、低温で蒸留する減圧蒸留で仕上げています。この製法によって、雑味のないクリアで軽快な味わいが生まれ、「クセが強く飲みにくい」という本格焼酎のイメージを大きく変えました。その後も各蔵元の切磋琢磨は続き、現在では常圧蒸留によるコク深いタイプの麦焼酎の生産量も増え、味わいの幅がさらに広がっています。

※大分麦焼酎は、大分県酒造協同組合の商標

 

焼酎の魅力の一つは、飲み方の自由度の高さ。気分や季節、料理に合わせて、さまざまなスタイルで楽しめます。

■ロック

氷で冷やすことで、焼酎本来の香ばしさとキレをストレートに味わえる飲み方です。氷が少しずつ溶けるにつれて、風味や香りが変化していくのも醍醐味。

【ポイント】
ロックは氷が命なので、固く溶けにくい市販のロックアイスを使うとベスト。氷となじませるように軽く混ぜ、グラスの表面に水滴が浮いてきたら飲み頃です。

■水割り

すっきりとした口当たりの中に、焼酎本来の香りがほんのり広がる定番スタイル。アルコール度数が下がるため、食事と合わせても飲みやすいのが魅力です。

【ポイント】
焼酎を先に注ぐと混ざりやすくなります。基本の割合は焼酎6対水4。

■お湯割り

寒い季節に人気の飲み方。温めることで香りがふわっと広がり、優しい口当たりになります。

【ポイント】
お湯割りはお湯を先に注ぎ、後から焼酎を入れることで濃度が均一になります。割合は焼酎6対お湯4が目安。

■ハイボール(ソーダ割り)

近年人気のスタイル。炭酸で割ることで香りが際立ち、軽やかでキレのある飲み口になります。

【ポイント】
入れる順番は「氷 → 焼酎 → 炭酸水」。基本の割合は焼酎1対炭酸2です。炭酸が逃げないよう静かに注ぎ、氷を軽く持ち上げるように一度だけかき混ぜます。

 

■芋焼酎

【主な産地/鹿児島県、宮崎県】
芳醇な甘みと独特の香りが特徴。芋の種類や製法によって、フルーティーから濃厚まで幅広い。お湯割りや水割りでも風味がしっかり残ります。

■麦焼酎

【主な産地/大分県、長崎県、福岡県】
香ばしく軽快で、クセが少なく飲みやすい。大分は「減圧蒸留」によるスッキリ系が主流だが、近年では、「常圧蒸留」のコク深いタイプも人気。

■米焼酎

【主な産地/熊本県】
スッキリと軽快な口当たり。日本酒と共通する米のまろやかな旨みと甘みが特長で、特に球磨焼酎が有名。

■黒糖焼酎

【主な産地/鹿児島県奄美地方】
黒糖を原料とする焼酎。黒糖由来の甘みをほんのり感じつつ、スッキリ爽やかな飲み口。ロックやソーダ割りによく合います。

■泡盛

【主な産地/沖縄県】
米(タイ米)を使用した、濃厚で力強い味わい。アルコール度数が高めのものも多く、熟成古酒(クース)は深みとコクが増します。


常識にとらわれない、革新的な焼酎を次々と生み出す「国分酒造」。芋焼酎の概念を覆すミント系の爽やかな香りは、フレーバー酵母と麹、芋を同時に仕込む“どんぶり仕込み”という古典的手法によって生まれたもの。芋焼酎特有の深みやコクと見事に融合し、新しい焼酎の魅力を体感できます。可愛らしいペンギンのラベルも印象的。

明治39年に創業した、家族経営の小さな蔵「小野酒造」の樽熟成麦焼酎。ホワイトオーク樽で10年以上じっくり寝かせたことで、麦の旨みと樽のバニラ香が絶妙に調和し、まろやかで上品な甘さと滑らかな口当たりが実現。ロックで味の変化を楽しみながら、ゆったりと味わうのがおすすめです。

笠木酒店

豊富な日本酒の品揃えだけでなく、蔵元直送の厳選焼酎も見逃せません。「青一髪(長崎)」や「その名は甑州(鹿児島)」など、焼酎通も唸るこだわりのラインナップを取り揃えています。

大分市古国府2-2-44
TEL.097-543-0912
営業時間/9:30~19:00、日曜、祝日~18:00
定休日/月曜(祝日の場合は翌日)
駐車場/4台


伝統的な焼酎造りを守るという想いのもと、鹿児島の「小正醸造」の蔵人が、手作業で醸す焼酎。木樽蒸留や素焼きのかめ壺熟成などにより、伝統の味わいを再現。特に同銘柄は、天皇杯や黄綬褒章を受章した生産者の黄金千貫のみを贅沢に使用し、原料の良さを引き出した芳醇な香りと優しい口当たりが魅力です。

中津市の小さな蔵元「旭酒造」が、手造りにこだわって醸す本格焼酎。麦焼酎が主流の大分県では珍しい、純米焼酎です。きめ細かいまろやかな風味と爽やかな喉ごしが特徴で、多くの焼酎愛好家を魅了。また、同蔵元の黒いラベルの麦焼酎「耶馬美人」にも多くのファンがいます。

酒の大平

地酒にこだわり、県内ほとんどの蔵元の日本酒や焼酎を取り揃える酒店。多様な嗜好に応えるための品揃えを心掛け、「うみ」や「晴耕雨読」などの鹿児島県産の芋焼酎も充実しています。

大分市中島中央1-4-27
TEL.097-536-6020
営業時間/9:00~19:00、 日曜、祝日10:00~18:00
定休日/なし
駐車場/6台


人気の日本酒「獺祭」の、酒粕を蒸留して生まれた粕取り焼酎。焼酎ならではのシャープな口当たりと、「獺祭」らしい華やかな吟醸香を兼ね備えます。後味は軽快で、キレイに閉じる余韻も見事。酒粕を用いた製法のため生産量が少なく、市場に出回ることはごく稀な、正規取扱店でさえ入手困難な希少銘柄。

地元・宇佐に根ざした焼酎造りを行う「常徳屋酒造場」の、代表的な1本。丁寧に焙煎した宇佐産はだか麦で仕込み、蒸留後、2年間じっくりと熟成。麦らしさを強く感じる銘柄です。焙煎と熟成が生み出す複雑で奥行きのある味わいは、ジンジャーエールで割ることで新たな魅力が広がります。

丸田酒舗

日本酒や焼酎などに加え、ナチュラルワインも種類豊富。県産焼酎のほか、蔵元へ直接足を運んで選んだという「やきいも黒瀬(鹿児島」」や「もぐら(鹿児島)」、「山ねこ(宮崎)」など県外の焼酎も充実。

大分市畑中3-3-52
TEL.097-543-5052
営業時間/10:00~19:00
定休日/水曜
駐車場/4台