2026.05.01 終活ニュース最新版
未来に想いを伝える人生最後の社会貢献 遺贈寄付

「遺贈寄付(いぞうきふ)」とは、自身が亡くなった後、
遺言などにより自治体やNPO法人などの民間非営利団体へ、
自らの遺志、あるいは相続人の意思に基づいて
財産を贈る(寄付する)ことを指します。
「お世話になった地域社会に恩返ししたい」
「将来を担う子どもたちの教育に役立ててほしい」など、
その理由はさまざまですが、
死後に社会貢献できる手段として関心が高まっています。

 

遺贈寄付の件数は、この10年間で約2.8倍に増加しています。その背景には、東日本大震災で多くの人が寄付を体験したことや、クラウドファンディングの普及により、日本人の寄付に対する心理的なハードルが下がっていることが挙げられます。さらに近年、核家族化や高齢化、生涯非婚率の増加などにより「おひとりさま」で亡くなる人が増え、相続人不在の遺産は国庫に帰属されるため、「財産を寄付して社会に恩返しできるように遺言を残したい」という社会貢献意識の高まりもあります。

 

①「私の預貯金を〇〇団体に遺贈する」などと遺言書に記して、財産の全部または一部を公益団体に寄付する「遺贈」。
②手紙やエンディングノート、口頭などにより、遺族に相続財産の全てまたは一部を寄付することを依頼する「相続財産寄付」。
③遺族(喪主)が香典のお返しに代えて、故人が支援していた公益団体に寄付する「香典返し寄付」。
④死亡によって効力を生じる信託や死因贈与、生命保険などの契約による寄付など。

 

現金や預貯金、株式、不動産などが対象です。ただし、株式や不動産などの現物寄付は「みなし譲渡課税」が発生する場合があり、相続人が負担することになるため注意が必要です。財産を個別に指定せず、財産全体について割合で指定する「包括遺贈」ではなく、一部の財産を寄付して残りを親族に相続させる「特定遺贈」が一般的です。

 

●自分が遺す財産の使い道を自分で決められる(法定相続分・遺留分を除く)。
●公益的な活動をする団体を応援することで、社会的課題の解決や社会貢献につながる。
●死後に残った財産から寄付するため、老後の生活資金を心配せずにすむ。
●寄付した財産には原則として相続税がかからない(相続人が寄付した場合も期限内ならば対象)。
●少額でもOK。

 

1.遺贈寄付の情報を集める。
2.自分の人生を振り返り、共感したことや応援したい分野を選ぶ。
3.信頼できる専門家や団体、支援サービスに相談する。
4.寄付先や資金使途を選ぶ。5.財産の配分を決める。
6.遺言書を作成・保存する(公正証書遺言を推奨)。
7.寄付先とともに豊かな人生を歩む。
8.亡くなったあとに遺言が執行される。
9.財産の一部(または全て)が寄付される。

 

寄付先は大きく、民間非営利団体と自治体の2つに分けられます。民間非営利団体には、NPO法人や学校法人、社会福祉法人、医療法人、公益財団法人、公益社団法人などがあります。ホームページなどを参考に、興味のある団体のセミナーやボランティアに参加したり、マンスリーサポーターなどになって送られてくるお礼メールやニュースレター、報告書などで信頼できる団体かどうか見極めるという方法があります。遺贈寄付先を任せたい場合は、地域のコミュニティー財団やNPOの中間支援組織などへの寄付も考えられます。

遺贈寄付を受け入れている団体の例

日本財団(公益財団法人)、日本赤十字社(認可法人)、国境なき医師団日本(認定NPO法人)、世界自然保護基金ジャパン(公益財団法人)、日本盲導犬協会(公益財団法人)、セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン(公益社団法人)、あしなが育英会(一般財団法人)、グリーンピース・ジャパン(一般社団法人)、東京大学(指定国立大学法人)、大分県社会福祉協議会(社会福祉法人)

 

残された家族・相続人を第一に考え、「遺留分」を侵害しない財産配分に注意するだけでなく、家族や相続人の心情に配慮することです。生前のうちに遺贈寄付する意思があることを、家族に伝えておきましょう。また、遺贈寄付を確実に実行するため、遺言執行者を決めておきます。法律の知識や手続きの経験が必要となるため、弁護士などの専門家に任せるとよいでしょう。

 

●国際NGOを通してアフリカに学校を建設。
●保健衛生分野の支援を希望し、国際NGOを通して発展途上国に井戸を設置。
●子どもの貧困対策の資金として遺贈寄付を受け取った社会福祉協議会が、学校の上履きや体操服などの学用品、メガネや冬服などの生活必需品、食料等を必要な子どもに直接給付。
●遺贈寄付を受けた社会福祉法人が、過疎化が進む地域で住民の居場所づくりに活用。
●「〇〇基金」として名前を残す形での寄付。


今年1月、大分・別府・豊後大野市で葬祭場などを運営する株式会社ファインと、大分県社会福祉協議会は、寄付文化醸成とファンドレイジング(募金活動)に関する連携協定を結びました。都道府県レベルの社協が企業と同様の取り組みをするのは全国初だそうです。大分県社協は、「生活困窮」「子どもの貧困」「権利侵害」「災害」「孤独・孤立」「福祉人材不足」の6つの社会問題を重点課題に掲げ、その解決に取り組んでいます。なかでも子どもの貧困などの地域生活課題は、公的制度の枠組みでは支援が十分に届きにくいという問題を抱えています。今回の連携協定は、これらの課題に対して、自由度・独立性の高い寄付などの民間財源を活用することで、柔軟に対応して解決を図っていこうというもの。そのために、遺贈寄付セミナー開催や関係者の倫理研修などを通して、寄付の大切さを広めていく取り組みです。2月には早速、「おおいた遺贈寄附セミナー~大分の未来に託すお金の残し方」をOBS大分放送本社で開催しました。大分県社協では遺贈寄付に関する相談にも応じています。

問い合わせ 
TEL.097-558-0300
メール legacy@oitakensyakyo.jp

遺贈寄付でできることの一例

・児童養護施設等から旅立つ子どもたち10人に、生活必需品や食料品等を提供…10万円
・十分な食事ができない困窮世帯の子どもに、1年間で10食分/日の朝食を提供…30万円
・生活や人生の危機にある人や子どもたちの支援を担当する専従職員を1年間配置…500万円
・公的財源だけでは支援が難しい問題に、柔軟に対応できる基金の創設…1000万円
・緊急的な支援が必要な子どもたちのための第三の居場所を1棟建設…5000万円