2025.10.01 芸術の秋に楽しみたい
大分市の「アート×建築」

開館10周年を迎えた大分県立美術館(OPAM)をはじめとする、
大分市内の身近なアートスポット。
企画展など趣向を凝らした展示の数々は鑑賞者を夢中にしますが、
その建物自体にも作品としての趣があります。
芸術の秋、建築にも注目してみませんか?

今年4月に開館10周年を迎えた、大分県立美術館(OPAM)。2月には累計入館者数が500万人を突破した人気の美術館の設計を手がけたのは、「建築界のノーベル賞」とも称されるプリツカー賞を受賞した建築家・坂 茂氏です。「五感のミュージアム」「出会いのミュージアム」のコンセプトのもと、美術に馴染みのない人々も気軽に訪れられるよう、1階は通りから中の様子がわかるガラス張りの構造を採用。また、建物正面は、全面開閉可能なガラスの水平折戸で構成されており、開放時には美術館が「縁側」のように街に開かれた空間となります。大分県の竹工芸をイメージしたデザインも斬新です。

1.11月22日(土)から開館10周年記念「きらめく日本美術 1300年の至宝展」、来年1月には「金曜ロードショーとジブリ展」などを開催予定
2.通りを歩行者天国にすることで、向かいのiichiko総合文化センターと一体となったイベントの開催も可能

 

大分県立美術館(OPAM)

●住所:大分市寿町2-1
●TEL:097-533-4500
●開館時間:日~木曜、祝日 10:00~19:00/金・土曜 10:00~20:00 (最終入館:閉館の30分前)
●休館日:なし(臨時休館あり)


緑豊かな「上野丘子どものもり公園」の中にある大分市美術館。市街地を見渡せる丘の上に位置し、喧騒を離れた静かな環境の中で、芸術とじっくり向き合える場所です。建物の設計を担当したのは、「世田谷美術館」や「桜台コートビレジ」で知られる建築家・内井昭蔵氏。自然との調和を重視し、周囲の景色に溶け込むよう設計されています。また、屋外にも現代彫刻家の作品が点在し、公園の散策路と一体となって訪れる人々を迎えてくれます。

1.安藤泉氏によるゾウの彫刻《遊星散歩》が設置された展望広場。幅広い世代に親しまれる人気のスポットだ
2.10月3日(金)まで「Meet Bamboo!丘の上のコレクションと竹との出会い」を開催中。人間国宝・生野祥雲斎の作品をはじめ、若手竹工芸家や竹を材とする現代美術家の作品を紹介

 

大分市美術館

●住所:大分市大字上野865
●TEL:097-554-5800
●開館時間:10:00~18:00(最終入館:17:30)
●休館日:月曜(祝日の場合は翌日)※第1月曜は開館、翌火曜休館(特別展開催中は火曜も開館)


大分市役所に隣接するアートプラザは、世界的建築家・磯崎新氏が35歳の時に手がけた、初期の代表作の一つです。革新的な設計と空間構成は、半世紀以上を経た今もなお新鮮な魅力を放っています。外観は、コンクリート打ちっぱなしの幾何学的なデザイン。内部には、スキップフロアを多用した立体的な構成や、「60’sホール」と呼ばれる開放的な大空間が広がります。3階には「磯崎新建築展示室」が設けられており、模型や資料を通して、思想や設計プロセスに触れることができます。

1.時代を先取りした独創的な空間構成が評価され、2022年に国の登録有形文化財にも登録されている
2.60’sホールを横切る梁の上の通路。ホールでは、常設展示される前衛芸術家グループ「ネオダダ」などの現代美術作品が展示される

 

アートプラザ(旧大分県立図書館)

●住所:大分市荷揚町3-31
●TEL:097-538-5000
●開館時間:9:00~22:00(ミュージアムショップ~17:00/磯崎新建築展示室~18:00)
●休館日:年末年始

豊の国情報ライブラリーは、大分県立図書館・県公文書館・県立先哲史料館の3つの機能が一体となった複合文化施設です。特筆すべきは、一辺約15メートルの立方体ホールに、円盤状の巨大なコンクリート構造物が内接するエントランスホール。隙間から差し込む自然光が浮遊感のある造形を際立たせ、訪れる人々を迎え入れます。

 

別府市山の手にある複合施設で、国際会議や別府アルゲリッチ音楽祭をはじめ、多彩なイベントが開催されています。そのランドマークとも言えるのが、高さ125メートルの展望塔「グローバルタワー」です。直立する2本の支柱を包むように配置された弧状の補助柱が特徴的で、まさに“ビーコン(灯台)”の名にふさわしい存在感です。


大正2年竣工の重厚な赤レンガ造りの建物が印象的な、大分銀行赤レンガ館。銀行としてATMや貸金庫を設置するほか、大分の逸品を現代の感覚で紹介するセレクトショップや、カフェを備えた複合施設として活用されています。この設計を手がけたのは、東京駅や日本銀行本店の設計で知られる建築家・辰野金吾、片岡安の両氏。ルネサンス様式を基調とし、赤レンガと白い御影石による帯状の装飾が、美しいコントラストを織りなしています。

1.空襲により内部を焼失したが、戦後に復元。市内に現存する唯一の明治期洋風建築として、今もその歴史を伝え続けている
2.ライトアップされた姿を府内5番街からとらえた一枚。1996年には国の登録有形文化財に指定された

 

大分銀行赤レンガ館

●住所:大分市府内町2-2-1
●TEL:OITA MADE SHOP 097-533-1616/ タウトナコーヒー 097-529-6633
●開館時間:OITA MADE SHOP 10:00~18:00(※日曜〜17:00)/ タウトナコーヒー 11:00~18:00
●休館日:水曜